ホーム > 診療内容 > アトピー性皮膚炎とステロイド軟膏について

アトピー性皮膚炎は非常に有名な病気ですが実際はかなりの誤解と不適切な治療が行われているために非常に治りにくい病気として扱われているといっても過言ではありません。

患者さんの中にはアトピーは食べ物のアレルギーと思われているかたも多く血液検査を希望される方も多いのですが血液検査で数値が高い食べ物をやめてみたところで症状の変化は乏しいといったことがほとんどで専門家の中には血液検査をいたずらにすべきではないといわれる人もいます。

アトピー性皮膚炎の患者さんは全員が極度な乾燥肌のため肌に触れるいろいろなものにかぶれていることが多いのですが実際は長年身近にあるそれらの刺激物を知らず知らずに使っておられます。

治療の基本はそれらの刺激物を可能な限りさけつつ徹底した保湿を年間通して休むことなく行うことです。このことを守りつつ湿疹の部位のみにステロイド軟膏などの薬を外用していくのですがこの基本的な治療がなかなか行われていないのが現状です。

当院ではこれらの基本的治療を行うために乾燥肌はいろいろなアレルギーに結び付く重大な病気であることを理解していただき保湿の重要性を説明します。その上で生活環境にあふれかえっているアレルギーの元となる肌への刺激物を避けていただく努力をしていただくようにしていただきます。ただし家庭、仕事場での環境はさまざまですので個人個人に合わせて詳細な問診をしつつ診療を進めていきます。

乾燥肌と肌への刺激を避けることを徹底していただいた上でもできてしまったアトピーの湿疹に対しては現在のところ世界的に長期にわたる効果と安全性が確認されているステロイド軟膏を中心に症状に合わせてプロトピック軟膏、コレクチム軟膏、モイゼルト軟膏を使用します。

ステロイド軟膏に関してはいろいろなマスコミや皮膚疾患に詳しくない医療関係者によってデマが流されステロイド恐怖症、アトピービジネスなどが発生した悲しい過去がありますがステロイド軟膏の副作用に関しては現在ではすべてが明らかになっているため専門的知識がある医師が定期診察を行って適切なコントロールを行えば生じませんし、生じたとしても後遺症として残ることなどはありえません。

また外用剤の使い方を間違っているためにコントロールが不良な患者さんが多いのも現実で医療関係者から薄く延ばして塗るようになどという明らかな間違った外用法を指導されていることが多いとの報告がマスコミよりされました。実際に患者さんの中には効果がある薬を使っているのにも関わらず正しい外用ができていなかったために治らないとう事例が非常に多くみられます。当院では患者さん本人の皮膚で外用の仕方を学んでいただきます。

かなりの数のアトピー性皮膚炎の患者さんは徹底した刺激の除去と保湿をしていただけばしばらくするとステロイド軟膏などに頼ることがなくなる肌が手に入り結果的に真の脱ステロイド状態にもっていくことができます。

以上のような診療に加えアレルギーを避ける食事や生活環境見直しなども行い保湿剤以外の薬に頼らなくてよくなることを目標に診療を行っていきます。